コラム (ブログ)

雑多なコト(体系的ではない話題・時々の話題に対する考察)をここに書き留めさせていただきます。

AIを規制することの愚と、より大きな可能性がある脳科学

2023.12.19
AIを規制することの愚と、より大きな可能性
 AIの進展が社会問題として取り上げられ「2045年には人間を超える」そして、社会が根本から変わる。など世間でマスコミで騒がれ、法規制の論議まで盛り上がっています。しかし、私は、現在のAIの発展は、1990年代のインターネットの発展に類似する程度のものと考えます。
 インターネットの発展と普及が社会は大きく変えたように、AIもまた、社会を大きく変えていくとは思いますが、それでも”その程度”のこと。インターネットの時は、法規制するようなバカなことは行われなかった。それゆえ、現在、世界中で多くの人がその恩恵を受けることができるようになりました。

 私は、それよりももっと大きな変革をもたらすものは、脳科学の進展だろうと思います。そして今世紀の後半には成果が社会に還元されていくものと思います。残念ながら私は生きてはいないでしょうけれど。
 例えば、LGBT問題は人権や社会構造の問題ではなく、先天的、後天的に脳に異常が生じた患者を治療することが問題の本質でしょう。そして脳科学の発展により脳内にある"性を司る部位に対する治療"で、問題はほぼ解決できるようになるでしょう。他にも、少年少女性愛者による犯罪が止められない問題も、脳にある異常を治療することで多くの問題の解決が可能となるでしょう。同様にADHDなどの課題や、反社会的な行動をする多くの人々には脳に問題があることが明らけになっております。(収監されている多くの犯罪者は、こうした脳機能に問題があることが明らかになっています。従って、彼らに必要なことは、更生に向けた社会教育ではなく、脳の異常を治療する必要があるのです。)他にもアルコールや賭博に溺れる人も後天的に脳に異常を発症した患者と考えるべきですし、宗教により妄信的な行動に出る人々も同様です。宗教が国家や民族の殺し合いを促してきた歴史は否定できません。
 このように多くの社会問題を解決することが、脳科学の進展により可能となるでしょう。上記は社会のマイナス面に対しての課題解決でしたが、逆に人類の精神や哲学の問題をプラスに進める糸口も多くもたらすことでしょう。ただし、政治や政府が市民の脳に統制を加えることも可能となるため、こちらの方がAIの問題よりも大きな社会問題として向き合わなければならなくなると私は思います。


夢を高い品質で産み出す企業2

2023.8.9
京都アニメーションの予告より
 前回の話題の続きです。
 4年ぶりとなる京都アニメーションの「響けユーホニアム」の劇場公演版を観てきました。
 以前と変らぬ高い品質と内容に安心をすると共に、以前ならばアニメーションとして描かれていた箇所(特に演奏シーン)が大幅に短縮され、かつ、上映時間も短く、以前の4作品には及ばない製品(映像コンテンツ)でした。
 ファンの方々の感想は概ね好評価で安心させられますが、組織としては以前のレベルにはまだ戻っておらず、あの大事件からの回復途上であると私は感じざるを得ませんでした。だからダメと言うワケではなく、引き続き応援が必要だと思った次第です。

 もとより、行政に期待するようなことではありませんが、ジャパニメーションを国策としているのにもかかわらず、日本屈指のクリエイター集団の復活を応援できていないとしたら、文部科学省の目はフシ穴であると嘆かわしく思います。
 この夏のジプリの新作は、またしても”巨匠”便りの作品で、企画レベルからしてがっかちさせられます。また、圧倒的な金銭力のディズニーを主体としたアニメーションもどんどん制作されており、土俵が違うとは言え、日本のアニメーションが飲み込まれないようにと願っています。
 なお、大好評との評判を聞き米国製CGアニメ「マリオブラザーズ」の映画を1ヶ月ほど前に観てきました。が、言葉にならないレベルでした。任天堂の方々も制作に加わっており、収益は任天堂に落ち、ひいては日本にも落ちるのだと思いますが、こんな内容でも大ヒット(収益確保)とは・・・。
 必ずしも良いモノが売れるとは限らないこの世界ではありますが、良いものを作る日本企業を応援したいです。

(追記:その後、「響けユーホニアム3(新作)」がNHKで放映される予定が決まったことが発表されました。国民から半ば税金のように視聴料を集めるNHKだからこそ、このように日本の未来に貢献する優良なコンテンツ会社を応援することは、とても正しい活動だと思います)


夢を高い品質で産み出す企業

2023.6.20
京都アニメーションの予告より
 新卒入社時に同期だった友人が、定年退職を機にサックスを買って楽器演奏を再開すると言う、飲みながらの話をきっかけに、彼から推奨された京都アニメーションの「響けユーホニアム」というアニメ作品を観て、私もファンになってしまいました。(私もトランペットを吹きますので)
 その美しい映像、精緻な画角、妥協無き音響と映像のシンクロ、取材を重ねた現実感・・・このレベルまで高いと芸術レベルのクオリティと言っても良いと思いました。

 日本にはスタジオジプリという、より有名なコンテンツ制作企業があり、素晴らしい作品を生み出して日本の文化・経済に貢献してきました。が、残念ながら「巨匠 頼り」でした。彼がいなくなれば組織はTHE ENDかもしれません。企業としては反面教師として見習うべき点が多いかもしれません。
(追記:その後、スタジオジプリは日テレの子会社として買収されることになりました。予想通り、衰退するダメな企業の例でしたね)

 これに対して、京都アニメーションという組織は、高い技能やモチベーションを持ったメンバーを抱えて、組織としても高い性能を発揮して、アプトプットを産み出すという点で、日本企業経営の見本にも思えてきました。高いクオリティは、組織とメンバーが抱く夢が源泉になっているのでしょう。
 創業時のホンダやソニーにも通じるのではないかとさえ思います。現代ではイーロンマスクが率いるEVメーカー、宇宙ロケット、衛星通信の組織が、高い夢を持って集う高い技能メンバー達により、アウトプットが産み出されているものと想像します。
 しかし、京都アニメーションには4年前に暴漢によって30名超のメンバーの命が奪われる大事件が発生。組織として存続も危ぶまれる大打撃を被りました。ようやく新作映画をこの夏に出せるようになったとのこと。応援も兼ねて観に行くつもりです。


オリンピック不正叩きも程度をわきまえて

2023.2.25
NHKの報道より
 東京オリンピックで不適切な受注調整があったとして、関係した方々が叩かれています。ひどい話だと思います。
 ただ、私が思うのはマスコミの論調とは全く逆で、「調整したことがひどい」のではなく、これを叩く「正義の姿勢」がひどいと感じるのです。

 相応のイベントを実施しようとしたら、それなりのノウハウが必要です。専門性の高い国際大会ですから誰にでも入札に参加してもらって任せるようなことができるものではありません。規模こそ違えど、私も新商品の発表会、展示会(公開、非公開)・・・と、イベントをやってきたから良くわかります。
 わかりやすく例えるなら、うまい酒をつくろうと思ったら相応のノウハウ(暗黙知)が必要です。仕様(形式知)を提示して、入札で一番安い札を入れた酒造メーカーを選定すれば、皆が納得するうまい酒ができる・・・ハズがありません。
 まして、絶対に失敗できない「東京2020大会」であれば、絶対に失敗しない業者をリストアップすることは主催者側として当然のこと。

 もちろん、この問題と切り離して考え無ければならないのは、公式スポンサー認定の権限をエサに私腹を肥やした電通OBの大物と、これに群がった一派の皆さんです。彼らは断罪されてしかるべきです。この不正義と「受注してもらいたい企業の一覧表を作成していた」ことは別次元の話です。
 また、話題の電通には頭のいい人が一杯いますが、高く評価され過ぎていて、能力以上のバイアスが偉い方々(決定権者)にかかっていると思います。こうしたバイアスを利用した独占が、正常なマーケティング活動を歪めている点は否めない一面があると思います。
 そうした点が改善される方向でマスコミが叩く(問題提起する)のならば良いのですが、方向違いに叩いているので、ちょっとひどいと思うのです。


ドローンの発展がビジネスチャンスを生む

2022.11.18
必ず新たなビジネスチャンスが産まれる
 ウクライナの戦争で、ドローン利用なしの戦闘が考えられない状況となりました。
 世界が目にしたこの現実によって、今後、軍用ドローンは恐るべき発展を遂げることになると思います。例えば、ドローンは戦車に標準的に搭載されるようになり自動飛行で先行。敵を探索し戦車砲に照準データを伝えるという具合です。また、歩兵が持つドローンは歩兵が携行する対戦車ミサイルのジャベリンとも連動するようになるでしょう。
 そうなると次は、敵のドローンを検知して撃墜する攻撃ドローンです。 ・・・激変の連鎖が続きます。

 ここまでは、「すごいだろうなぁ」と第三者的に驚くだけですが、新商品・新サービスを担うリーダーならば、我々の生活にどう影響するか?も進めて考えてみましょう。

 まず、軍事技術の民生転用は自明のことですから、民生ドローンも恐ろしい速度で発展するでしょう。ドローンによる空中輸送は既に語られておりますが、実現時期が急速に早まるでしょう。
 そうなると、次は飛行ルートです。例えば、都市部では墜落などの被害軽減のために川や運河の上空が飛行ルートに設定されるようになるでしょう。まるで、江戸時代の水運の発達と同じようになり、かつて水運で栄えた地域が脚光を浴びることになります。
 首都圏では? 千葉県の北の先っちょの野田市(旧関宿町)は、利根川、江戸川の境界ですから、ドローン輸送の一大拠点に発展する余地があります。ここから首都圏や臨海部、横浜にも、また関東平野の内陸部にも、銚子を抜けて太平洋にも自在に移動できます。
 つまり、関宿町は野田市に吸収された貧乏自治体でしたが、ドローン輸送の拠点エリアとして21世紀半ばには奪い合いの好立地に変貌する可能性があります。
 まさか、ウクライナ戦争により、千葉県北部が熱くなる。 とは。 風が吹けば桶屋が儲かる。 野田市の都市計画部門の責任者は、是非、私まで連絡をしていただきたいと思います。


Youtubeすごいな

2022.10.17
Youtube
Youtubeでレッスン
 若い頃にトランペットを吹いていましたが、働き盛りと言われる年代の頃には、私の楽器は何十年も眠っていました。そして、最近、ラッパ吹きを再開しました。バイク乗りではリターンライダーと呼ばれますが、どう言えば良いのでしょう?リターンペッター? なんだかカッコ良くないですね。
 しかし、最初は四苦八苦です。以前のようには演奏できないし、できれば以前とは違う演奏力を身につけたいと思う。そんな私が頼るのがYoutubeです。

 いや驚くばかり、Youtubeには演奏を解説する映像が無限と言えるほど上がっている。音声と映像なので、昔のような教則本などよりも100万倍もわかりやすい。しかも、いろいろな人の解説を見聞することができる。瞬時に! 無料で! 海外映像も!
 私が高校生だったころは教則本で練習するのみ。トランペットは口をマウスピースに当てて吹き込む部分の微妙な加減が非常に大事なのですが、教則本に挿入された絵や写真には動きも音もない。一体どのように吹き込むのか理解できるハズも無い。しかし、Youtubeではそれらが解決される。

 今の中学、高校生の世代は、Youtubeの映像・音声に手軽に触れることができるので、それ以前の世代に比べたら格段に早く成長できると思います。世界中の映像から吸収することができます。
 そうなると逸材が産まれる可能性も高まります。これからは半世紀に一人と言われるような逸材が、数年ごとに登場するような時代に。そうなると、音楽という分野に革命も起きると思わざるをえない。これは音楽だけではないでしょう。Youtubeが与える影響はすごいな。
 活版印刷が発明・普及したことで人類の文化も社会構造も大きく変りました。活版印刷が無ければ民主主義という考え方や今の国家や社会構造だって実現しなかったでしょう。Youtubeは活版印刷に匹敵すると思いますから、今後、今の人間には想像もできないレベルに人類は飛躍すると思います。

 昨日、何十年ぶりに人前で演奏させていただく機会をいただきました。力量不足なれど楽しかった。


久しぶりの展示会には元気がなかった

2022.09.14
国際物流展2022
国際物流展2022のシーン
 昨日、国際物流展の見学に行ってきました。このB2Bビジネスのイベントは、東京ビッグサイト東1~8ホールを全て使い切る大規模なものです。
 今回、このイベントを訪問した主な理由は、仕事がらみの面もありましたが、過去に何度もこのイベントへの出展をしてきた経験があるため、思い入れもあって最近の動向把握も兼ねて見聞したかったのです。

 しかし、結論から言えば、全般的には盛り上がりに欠けている印象を持ちました。なぜなんだろう?
 まず、見学者が例年よりも少ないと感じます。やはりコロナの影響で、「人混みには積極的に出掛けない」が、市民の行動として根付いてしまった影響かもしれません。

 一方で、出展している各社も展示の創意工夫も乏しく、綺麗に整った優等生的な展示が多くなっていたと感じました。つまらないのです。「バナナのたたき売り」のような衆人の目を集めるような "攻めた発信" を各社で競って欲しいものです。

 コロナの影響で商談もWeb会議システムで行うことが多くなってしまったことから、こうした展示会のような「現物を見て、触って、感じる」ことができる機会は、今まで以上に重要になっていると思います。しかし、折角の機会であるにも関わらず、見学する側も出展する側も元気が乏しいと感じざるを得ませんでした。 私なら、もっと魅力的なブースにしてみせるのに。そこも、あそこも。と。


新商品を育むフレームワーク

2022.09.01
両利きの経営
多くの日本企業に必要なこと
 クライアントが先月末に2年越しの新商品の発表を行いました。私もこの商品には初期段階から支援をさせていただいており、かつ、発表段階ではマーケティングに関わる準備の支援をさせていただきましたので嬉しい次第です。

 実はこの新商品は、従来商品とはかなり異なるビジネスモデルとなるため、販売先への事前打診では否定的な評価が多く寄せられました。
 そこで、責任者の方には、「イノベーションのジレンマ」のフレームワークを説明し、判断する時点に大きな割合を占めるお客様の言うことを聞いた対応をしていくだけでは中長期的には事業の継続が危うくなってしまうこと、そして、この課題を克服する「両利きの経営」のフレームワークの説明も行い、励ましつつ、新商品が途中段階で萎んでしまうことのないよう応援を行ってきました。

 「両利きの経営」のフレームワークとは、両手をうまく使うように、従来ビジネスと、新ビジネスをうまく切り分けることを責任者に求めるフレームワークです。 多くの場合で、従来ビジネスが新ビジネスの邪魔をすることがあるので、両方を見る立場にある上位の責任者は、一人の頭の中に異なる視点や評価軸を持ち、新ビジネスを育てる必要があるということです。
 もちろん、新商品・新規事業を担うリーダーの方にも、「イノベーションのジレンマ」と「両利きの経営」は理解しておいてもらいたいフレームワークの一つです。


日本はEVで出遅れている?2 

2022.08.27
1980年代漫画
私もワクワクした1980年代の漫画
 昨年4月のコラムで取り上げた読売新聞のトンでも記事の続きがまた掲載されていました。『カリフォルニア州では2035年からHVが規制され 日本は不利』と。経済欄の紙面の1/2を割いて報じられていました。
 しかし良く読めば、PHVは規制対象外ということ、つまり、外部から充電できるプラグを付けてHVをPHVに仕立て直せばOKと理解できる。しかも、あと12年間はHVの優位が約束されたようなものなのだから、むしろ安心材料と報道すべきような情勢です。勉強不足記者による勘違い記事というだけに留まらず、その上位までトンチンカンな責任者達が編集している新聞であることがわかります。

 日本ではガソリンが170円超の高価格となったために政府が税金を投入して事態の沈静化に努めているとか、ガソリンの税金を一時的に免除する法案を掲げる政党まで出てきたことが報道されていいます。でも、欧州では同時期のガソリンは200~250円ぐらいだという。だから日本は遙かに安いとしかいいようが無い。次世代産業が理解できない文系記者であってもこれくらいの内容は記事として伝えることができるのになぜか伝えられない。

 産業として問題を取り上げるのであれば、乗用車よりもオートバイの方が今は重要でしょう。乗用車よりも高いシェアで長年に渡って日本勢がオートバイの世界を制してきました。しかし、これからの10年での開発遅れは命取りになり、日本の産業における大問題に陥る可能性があります。日本のオートバイメーカーの収益や雇用が崩れれば、傘下の会社を含めて大きな損失になるからです。
 逆に電動化によってオートバイは前輪も高い精度の制御で駆動できるようになれば、今とはバイク全体の形状まで変化する可能性も考えられます。そして世界的に人気がある「アキラ」に登場していたバイクのような形状となる可能性もあります。マスコミには乗用車のEV化でのミスリード記事ではなく、こうした産業に警鐘を鳴らしつつ、夢と可能性を示唆するような記事を作ってもらいたいものです。


誰でも見られるマーケティングのお手本(教材)

2022.06.18
TVショッピング
高田氏が確立したフォーマットは
マーケティングのお手本
 前回からの続きで「良いコマーシャル、ダメなコマーシャル」に似た内容の話題です。TVコマーシャルとはやや異なるジャンルとなりますが、ジャパネットタカタのTVショッピングの内容は秀逸で、新商品・新規事業を進めるリーダーの皆様にマーケティングの教材としてお勧めできるものです。

 まず、商品やサービスの説明(Products)の利便性や生活向上でのお役立ち(顧客価値)を具体的なシーンを想像させるようにしながら伝えます。また、従来品との違い(競争優位)も具体的に説明をして、買い換えが妥当であることも伝えます。例えば小電力化で、トータルで見れば経済的であることなどです。この2つのポイント「顧客価値」「競争優位」は必ず盛り込まれます。商品の性能説明も、この2つの視点で語られます。
 そして、販売経路(Place)は、説明をしている本人達ですが、さらに在庫の確保状況やお届け予定日や設置サービスについても説明をして、他店に流れないよう念押ししておくことも忘れていません。
 最後に”間を持たせて”、価格(Price)を発表します。商品単体の価格だけではなく、多くの場合、付属するオプション品や取付サービスなど「セットでお買い得」感を示して価格設定に納得力を増すダメ押しを行います。
 これらアピール(Promotion)が定型化されておりますので、消費者側も安心して情報を受け取ることができます。ラジオ、TV、新聞折り込みなどの媒体は変化しても、マーケティングの基本(マーケティング4P、顧客価値、競争優位)は、しっかりと押さえられています。

 新商品・新規事業を進めるリーダーの皆様は、自分の商品・事業をジャパネットタカタの定型フォーマットに従って、3~5分で説明できるか確認してみてください。(例えば、お風呂で湯船に浸かりながらでも)
 新商品・新規事業がマーケティングの要素を押さえたモノとして準備が進められていれば、高田社長のようにスラスラと説明できるハズです。もし、何か詰まるようなことや無理があれば、マーケティングの重要ポイントを押さえることができていない証しです。このように検討すべき点を明るみにしてくれます。


良いコマーシャル、ダメなコマーシャル2

2022.05.3
TVコマーシャル
少し前の缶コーヒーのCM
この商品を届けたいターゲット層や消費シーンを伝達できている
 前回に続いてTVコマーシャルのマーケティング的な感想です。
 まず、疑問に思うダメなコマーシャルの典型は、各社のビールのコマーシャルです。どの企業の新商品のコマーシャルでも、著名な芸能人がただただ「うまい!」と言っているものばかりです。ターゲットも他製品との差別化も伝達できていない。つまり広告効果が極めて薄い。何で未だにこんな不毛なコトを、揃いもそろって各社で一商品あたり数十億円も投下しているのか、私には皆目見当がつきません。
 昔のように新商品を告知するために名前だけを連呼するような超大量投下の時代はとっくに終わっていると思いますし、もし、それをやっているのだとしたら、どの新商品の広告投下量は中途半端で十分な量とは言いがたい。

 一方で、同じ飲料の缶コーヒーのコマーシャルは、飲んでもらいたいシーンやそこに登場するターゲットとしている顧客層がわかるようになっており、商品の特長も説明され他商品との差別化を伝達することも織り込まれている。
 例えば、現場で働く漢(男)をメインターゲットにした「ひとときの休憩」(つまり数分で消費する飲みきりなので、小~中容量の缶コーヒー)や、オフィスで働く男女が「会議の最中」に飲んでもらう(つまり、数時間かけて消費する中~大容量なので、大きめのペットボトル入り)という具合です。また、他にも、牛乳が多めの柔らかな味、ブラックのキツイ味・・・などの商品の特長をしっかり説明している。継続的なキャラクターが登場するモノも多く、ストーリー性を持たすことで好感度を維持することにも成功している。

 右肩下がりのビール業界なのだから、前回踏襲のマンネリはダメなのに「貧すれば鈍する」とはこのことでしょうか。
 最近の若い人は驚くほどビールを飲みませんので、ビールのコマーシャルは専らオッサン相手に行っているのでしょう。そうすると、この空虚なコマーシャルは我らオッサン相手に向けられているのでしょうけれど、ここまで"なめた宣伝"を行うということは、オッサンをバカにしているのか? でも、オッサンの一人である私もバカなので、次々と繰り出される新商品ビールは全く頭に残っておりません。


良いコマーシャル、ダメなコマーシャル

2022.04.1
CMキャラクター
日本ガイシの宣伝キャラクター
流行の芸能人やスポーツ選手を使うよりもずっと良い方法です
 TVを見ているとがっかりさせられるTVコマーシャルが時々あります。最近の例では、女子プロゴルファーが素振りをする映像に重ねるように「未来に向けて頑張ります」と企業メッセージが語られるコマーシャルです。これで、誰に?、何の?情報を届けようとしているのか全くわかりません。プロモーションとして失敗に終わっていることに、がっかさせられる思いです。(「実は私は中身がありません」とマイナス広告しているようなものです)
 一方で同業他社の佐川急便のTVコマーシャルは素晴らしい。この企業の顧客拡大に訴える力のある内容となっています(顧客価値、競争優位性を伝える内容になっている)。直接的な顧客だけではなく、社会に役立つ企業であることも伝わってきます。

 他にも良い広告を行っていると関心するのは、日本ガイシ、富士フィルム、トヨタ(トヨタダイムズ)などです。顧客拡大の広告の主要な狙いはもちろんのこと、人材確保(新人、中途入社)、社員の士気高揚、IRとしても機能していると思います。
 例:日本ガイシ https://www.ngk.co.jp/info/gallery/
   富士フイルム https://brand.fujifilm.com/sekai-hitotsuzutsu/ad/

 富士フィルムはコダックと同じ写真フィルムメーカーとして競争してきましたが、現在の両社の状態は全く異なります(もちろん富士フィルムの経営が圧勝です)。両者の違いは経営学の題材として良く取り上げられます。富士フイルムの一連のTV広告を見ても、富士フィルムが多角化を進めることで発展できるた企業体質(ケイパビリティ)を持った企業であったことやそれを可能とする優れた経営陣がいることを伺い知ることができます。 一方で、ダメな広告が展開されている企業は・・・広告会社の質に疑問を感じるものもありますが、多くはそれ以前の問題があると考えざるをえません。


ウクライナ情勢

2022.03.10
ウクライナ
まだこの戦争の名称も決まっていない
 日々報道されるウクライナ情勢のニュースを見るていると悲しくなって涙が出てくる。恐ろしさと怒りを感じる。叶うことならば、ぶん殴りに行きたい。
 その一方で、ウクライナ情勢の行く末を考えることは、事業の戦略考察のトレーニングにもなるので、逐次報道される新情報に興味も尽きない。 彼我の次の一手、第三者の動向、予見可能で考慮できる要素、予想困難な事象、これらが絡み合う複雑系システム。 「こうなるのではないか」とシナリオを考えること。「その手があったのか」と驚くこと。「考慮できたのに頭をよぎることもなかった」と思慮不足に失敗を感じること。 ここ数日はそうした毎日です。
 そして、ここは、新商品・新規事業の創造の視点から課題解決を考えてみたい。
 国家に頼らず、市民の力で、力による現状変更を試みる国家指導者に対して『怒りの鉄槌』を下す行動を起こすことは可能だろうか?
 以前であれば「笑い事」であったが、クラウドファンディングでゴルゴ13を雇う資金を集めることは実現可能であると思う。 ゴルゴ13はフィクションなのでこのままでは実現性はゼロだけど、アノニマスのような組織が暗殺のための特殊部隊の傭兵を雇う募金活動を行えば、これに応える市民が続々現れてもおかしくは無い。 もちろん、倫理的な問題を多く含むため、このやり方では市民権を得ることができないでしょう。
 マイクロソフト、アップル、Google、ソニー、任天堂がその気になれば、ロシアで稼働するWindows、iOS、Android、Playstation、Switchに強制的にウクライナ情勢を表示させることはできるであろう。 そして、市民が政権を倒すまでこの活動を続けるとなると、ロシア市民は、どうするだろうか?結果は自明だと思う。 これも民主主義とは違う権力が行使された活動である点で、やや恐ろしいことでもある。しかし、世界市民の募金でGoogleの筆頭株主になって、これを実行するとしたら現在の社会規範に触れるのだろう? そして、このようなことは遠いようにも思えるが絶対に不可能なコトとは思えない。
 この延長でもう少し考えると、国家の下に市民や組織(企業)があった世界は過去の構造となり、国家と同等に対峙する力を持つ組織を世界市民がドライブすることも可能となってきたのではないだろうか?そうなると、市民革命、産業革命に匹敵する人類の発明になる。22世紀にはより良い方法で実現されているかもしれない。


アップルの株価

2022.01.10
iPhone13
日本アップルのホームページより
 年明け早々、米国の株式市場にてアップルの株価が一時的に時価総額3兆ドル(340兆円)を突破しました。あの米国でも史上初のことだそうです。
 以前、私は「アップルの凋落を感じる」と記しましたが、これとは逆の状態です。でも私の考えは変わりません。 理由は簡単で、新商品・新規事業が産み出されていないからです。新商品のiPhoneは10年前から本質的な変化はしておりません。ティム・クック氏が率いるアップルは現状維持を続けているだけです。
 もちろん高い実績と株価を実現したクック氏は経営者としては優秀な方でしょう。しかし挑戦する姿勢を失った今のアップルは燃料の切れたロケットのようなものです。10年経ってもフロンティアを開拓しないアップルとクック氏に未来を期待することには無理があるでしょう。今は慣性で飛び続けていますが、いつまで飛び続けることができるでしょうか。

 これに対し、イーロンマスク氏は、火星まで本気で行くつもりで新事業の開拓を続けています。さらに脳とコンピューターつなぐ技術の成果も発表。彼はどこまで進むつもりなのでしょう?  Amazonもベゾス氏はロケットを作ってフロンティアを目指します。これらの米国企業は現状維持ではなく燃料を燃やして加速しています。慣性だけで飛んでいるアップルとは違います。時に燃料が暴発して軌道を外れることもあるかもしれませんが、自分の意志で飛んでいます。だから未来を期待できます。
 また、新年早々のCESでは、ソニーが電気自動車の事業に乗り出すと発表。ソニーの持っているテクノロジーではEVの事業を軌道に乗せられる能力は遠く及びません。しかし、挑戦する組織風土が発露していることは素晴らしいことで、アップルよりも未来を掴む可能性が高いでしょう。いつかソニーがアップルを買収してしまう日が来ると思います。


介護の世界は新規事業のフロンティア

2021.12.21
ALEXA
amazonnのアレクサ
 今年の後半は、親の介護に直面して「こんな商品あったら良いのに」「こんなサービスがあればありがたいのに」と思うことが多々ありました。逆に言えば、介護の世界は新商品・新規事業のフロンティアだと思いました。
 例えば、実際に使用し、これからの発展を期待したいものの一つが、Amazonの「アレクサ」です。
 老人のお話相手になってくれることはもちろんのこと、様々な家電や家具など遠隔制御・自動制御するプラットフォームとして活用することもできます。例えば、”平日の夜は、部屋が寒くなったらエアコンの電源を入れる”なんていう利用も安価で容易に可能です。 さらに、医療・介護のバイタルデータの収集や活用も同様に可能としていくことができそうですし、介護サービス(例えば、デイサービスや訪問介護)でも「アレクサ」を遠隔利用できるようになっていれば、本人にも家族にもありがたいことでしょう。


日本はEVで出遅れている?

2021.04.08
THS
初代プリウスTHS トヨタのホームページより
 本日の読売新聞では『HV多く 日本は不利』と、朝刊12ページ紙面の1/4を割いて報じられていました。「ああ、またも文系記者のトンチンカンな報道が」と残念に思いました。
 新商品・新規事業の立ち上がり時期には、こういう勘違い論調のミスリードで芽吹いたばかり新芽が潰れされてしまうようなことを私は懸念します。だから新商品のリーダーは、こうした現象には注意すべきであると思います。(トヨタならば、こんな記事など「意に介せず」だと思いますが)
 確かに、最近のEVの世界シェアの統計データの数値の表面だけ読めば、米国のテスラを筆頭に中国の自動車会社などがEVの出荷台数を増やしているので、『トヨタでさえもEVで出遅れてしまっている!』という流れの記事は時々見かけたりします。しかし、これはEVの本質を知らない見識の低い方々による勘違い記事です。

 プリウスを筆頭としたトヨタのハイブリッドシステム(THS)搭載車は、今すぐEVにアップデートできる潜在性能を持っています。乱暴に言えば、エンジンと燃料タンクを車体から下ろして、そこにバッテリーを多目に積めば、すぐに本格EVになるような仕上がりです。プリウスPHVはその実証車輌のようなものです。THS搭載車輌を多彩に展開し量産しているトヨタは、世界一のEVメーカーのポテンシャルを既に持っているのです。世界中のどのメーカーもトヨタのラインアップや出荷数の足下にも及びません。
 しかし、新商品・新規事業の開発での注意ポイントを知らない2流コンサルタントならば、統計データと競争戦略論を持ち出して「シェアの低い御社がこれから開発する新商品は差別化戦略で商品開発をしなければなりません」と経営陣に指南をするかもしれません。しかしこれは誤りで、世界一の電動車の出荷実績があるトヨタは間違い無く「コストリーダーシップ戦略で事業を推し進めるべき」なのです。
 プロダクトライフサイクルの導入期での新商品・新規事業の戦略判断の時にはこのようなミスリードが起こりかねませんので、新商品のリーダーの方やこれを支える経営者の方は、誤った提言に惑わされないよう注意が必要です。(私もパナソニックに在職中に導入期にある新商品のプロモーションで悩んでいた頃に、訳知りの先輩からそうしたアドバイスを受けたことがありますので・・・)


3.11

2021.03.11
福島原発2号機内部
福島原発2号機内部 東京電力ホームページより
 今日は東日本大震災から10年。これに関わる様々な報道が数日前から行われていますが、新規事業の創造に関心を持つ私が気になる話題の一つが福島原発の廃炉処分です。

 メルトダウンを起こした原発を解体する作業は、今から日本が月着陸の有人飛行を行うよりも難しいこととなります。(月までの往復は既に達成されており手順は明らかであるが、破損した原発を解体する作業は人類には未知の領域です。)
 廃炉作業には間違いなくアトムのような自立型のヒューマノイドロボットが必要になるでしょう。高濃度の放射性物質の中で諸作業ができるロボットは絶対に欠かせない存在でしょう。難易度は極めて高いのですが、これが実現できれば月面基地の建設も火星基地の建設も深海底の開発も容易になるイノベーションとなります。日本が世界をリードできれば素晴らしい。
 こうしたイノベーションに名乗りを上げる企業が令和の時代に出現することを待ち望むし、これを私は応援したい。その背景となる新規事業に取り組む人が増える社会を応援したいと思います。
 なお、国策にはあまり期待をしてはいませんが、高台移転の土木費用に費やすばかりではなく未来に繋がる戦略投資に費用を投じて欲しいと願います。また、報道機関は被災者の感動の悲話などの情緒的な報道ばかりでなく、未来に繋がる提言を含めた調査や報道をしてもらいたいものです。


戦略不在2

2021.01.16
 首都圏に緊急事態宣言が発出されて一週間以上が経過しました。市民の行動が抑制され、感染拡大が終息に転じることが期待されましたが、Googleによるコロナ感染予測を見ると、感染は拡大し続ける予想で終息する傾向は見られません。
   GoogleのCOVID-19 感染予測(日本版)

 スマホの位置情報把握から非常に多くの国民の動向を把握しているGoogleの予想データは、国家として全幅の信頼は置けないとしても考慮に値する情報でしょう。そして、今までの打ち手では感染拡大の抑制が見られず、今後1ヶ月で4500人の死者が増える予想を前にすれば、責任者は次の一手を打たなければならないハズです。

 「行政の運営」と「企業の運営」は異なることは承知しておりますが、それでも成功に至る要素としては共通点が多々あると思います。企業戦略については私の得意分野ではありませんが、縁があり少し研究をしたこともありますので、以下のように企業を危機から立て直しカルロス・ゴーン氏が、日産に乗り込んだ直後のアクションから知見を得てみようと試みます。
 倒産の危機の瀕した企業(日産)の非常事態に対峙したゴーン氏の最初の行動
 ・目標の明示:リバイバルプランを発表。(目標数値と期限を設定)
   「達成できないようであれば責任を取って辞職する」と明言。
 ・まず、危機意識の共有(TVなどへのメディア露出にも最初は積極的)
 ・「強引に」コストカット(例=購買改革)
 ・「痛みを伴う」改革の明示 (例=座間工場の閉鎖、子会社の売却)
 ・クロスファンクションチームを複数結成。「現場の声」を集めて実践していく。

 今の行政の状況は、リバイバルプランのような戦略の提示、目標の明確化、期日の明示がありません。「強引さ」「痛みを伴う」「現場の声」も見られません。もちろん「行政の運営」と「企業の運営」は異なることは承知しておりますが、あまりの違いに心配を通り越して、一市民として無力感を感じます。


戦略不在

2020.12.17
危機に瀕するも戦略が打ち出されない悲劇
 かつて東京では、アメリカの爆撃機による空襲で10万人の市民が死亡しました。そして今の東京は、一歩間違えば数千~数万人のレベルで死者が出る可能性を否定できない危機的な状況にあります。
 しかし、政府も東京都も「3つの密を避けて」「5つの小のお願いは・・・・」と、スローガンを発表するばかりで、この課題に対する具体的な戦略を示して、これに従う施策を遂行する様子はありません。対応と言えば、五月雨式に発生する個々の課題対応に、もぐら叩きのようにお金をアチコチに配っているだけです。 「撃ちてし止まん」「欲しがりません勝つまでは」と、スローガンを掲げていた80年前の日本と変らないレベルの対応です。国家レベルでの戦略不在とは非常に恐ろしいことと感じます。
 国家の運営にまつわる戦略は、私の知る企業の戦略とは異なるレベルのものなのでしょう。残念ながら私はほとんどわかりません。私が立法、行政に関わる仕事に就くならば、相当な勉強をしなければならないと感じます。
 翻って、企業に置き換えて考えれば、環境の変化に応じた戦略を打ち出せない経営者は恐ろしい存在です。それよりも階層の低い『新商品・新規事業のビジネスの創造』現場であっても戦略不在は悲劇を招きます。それゆえビジネスにおける戦略の必要性を広めるささやかな努力を続けたいと思います。それが私にできることと考えます。


戦略的Webページ改定

2020.11.12
Webページ製作イメージ
 あるクライアントのWebページ改訂に取り組んでおります。今日は、その2回目の打合せを行いました。 いくつかのフレームワークをいくつか使うことで戦略的な考察をクライアント共に行いながら取り組みを進めていきます。もし単に、最新の商品・サービスにWebページの棚を並べ替えて、今風のデザインに仕上げるだけの作業ならば、そこまでの考察は必要なく、また、当社が関わる意味がありません。
 今回は下記の2つの切り口で取り組んで進めていきました。
 1つ目は、「今までどんなお役立ちしてきたのか?」(顧客価値)、「同業他社とは何が違うのか?」(競争優位)を見直す作業です。これを最初の打合せの段階から行ってきました。ヒアリングさせていただき、クライアントがそれに答えるやりとりの中から、自分達の目線では気付きにくかった自らの価値の気付きを得ていただく作業を繰り返していきます。この論議の中からWebページ改定の中核となる訴求ポイントを選び出してくのです。 2つ目は、Webページ改訂後の最終形のイメージを提示させていただき、コレをベースにした論議も行います。顧客価値や競争優位の再検討だけの論議では、どうしても机上の空論になってしまう恐れがあるので、実感が沸く形で進めることで実践作業を深めることができるからです。
 さて、企業のWebページを多く見てきましたが、その企業の持っている 顧客価値 と 競争優位 が全くわからないようなホームページを良く見かけます。この点を見直すだけでも、ホームページの内容はぐっと良くなりますので是非お勧めします。
 また、これらを考察する過程は、責任者の方、社員の方々が自社と自社商品・サービスを見直す良い機会にもなります。この取組み効果は、Webページ改定よりも経営貢献度が大きなものとなる可能性もあります。この点からも顧客価値 と 競争優位 の視点で見直す作業を行うことをお勧めします。


アップルの凋落

2020.10.15
iPhone12が発売されたが
 先日、アップルからiPhone12が発表されました。5G対応のスマホだとのこと。
 残念ながら、今のアップルのリーダーであるクック氏は経営者としては優れていても事業家としては全くダメなようです。残念でもあり、その能力の無さに興味が沸きます。
 たしかに、アップルはGAFAの一角で、だれもがうらやむ高収益事業の会社であり、ブランド力も世界トップレベルです。でも、今のこの状況を見ていると、私はこの会社の未来は先細りだろうと感じます。
 なぜって? 簡単です。新商品が出ないから? ジョブス氏が作った商品群をリニューアルしているだけです。植物に例えれば、青々と大きな葉をつけて生い茂っているように見えるけど、新芽が拭いていないような状態です。

 ジョブス氏がアップルを率いて活躍していた21世紀の最初の10年には、キャンディのようなカラフル色のiMac、半導体による音楽プレーヤーiPod、iOS、音楽配信・購入サイト、iPhone、iPad・・・と続々と新商品・サービスを世の中に出してきました。 しかし、彼の死後、アップルは新商品を生み出していません。watchがありますが、まだキャズム越えをしたとは言えないでしょう。
 たしかに、ジョブス氏のカリスマ的なカンによって数々のアイディアが産み出され、企業を引っ張る新商品が作られてきたのは事実です。だから、そんなリーダーがいなくなればその企業はもうおしまいなのでしょうか?いや違うはずです。
 例えば、ホンダは、本田宗一郎というカリスマリーダーが引っ張って企業を大きくしました。しかし、彼の引退後もホンダは世の中を驚かし業界の方向性を作り出すような新しい車、オートバイ、ロボット、飛行機・・・を世の中に送り出してきました。 つまり、ホンダイズムとも言われるカルチャーを本田宗一郎はこの企業に残して、彼が存在しなくても企業が持続的に発展することができたのです。当然ながら、本田宗一郎だけの業績ではなく、彼を慕う部下(教え子)達が、その路線を引き継いだからです。
 同様に、ソニーも森田&井深氏だけの会社に留まりませんでした。オーディアの名門企業としての地位は薄くなりましたが、未だにゲームに、映画・音楽に、スマホに、さらに金融にも・・・と、創業者のカリスマ性に起因する事業だけではない発展を遂げています。
 これに対しアップルは、ジョブスの後を継ぐ人達が新たな事業を産み出していません。ここからは想像ですが、ジョブス氏が去った後もアップル社内には挑戦する気風は暫くは残っていたと思われます。しかし、クック氏を始めとした(賢い)経営者達がそうした流れを押さえて株主達の要望に応える目先の益に走ってしまったのでしょう。
 実際、その昔のアップルも(賢い)経営者達が破天荒なジョブスをアップルから追い出して、結果として一時的には栄えたものの次第にアップルの経営を傾けることになってしまいました。それと同じようなことが起こっているのでしょう。
 私は、アップル株を持っていないし、スマホはAndroidなので、アップルの影響をほとんど受けない生活をしていますが、新規事業創造の経営をライフワーク的にテーマとしている以上、アップルの動向は少し気になるのです。頑張って欲しいけど、もうダメかなと感じました。


アフターコロナの新商品・新規事業2

2020.09.10
松下幸之助氏の名言2
 松下幸之助氏が口にした「ダム式経営」という言葉をご存じでしょうか?
 経営学の用語として定着しているものではありませんが、「ダム式経営」という戦略は企業が新商品・新規事業を連打し続けて、企業が生成発展していくために不可欠な戦略の一つだと私は考えます。
 ダムが水を蓄えているように、様々な事業のネタを蓄え続けていくことにより安定した経営が実現できるという考え方です。松下幸之助の講演を聴いていた若き日の稲盛和夫氏が自ら経営を行う際の考えて方として影響を受けたとのことです。
 まさに、今のコロナ禍の最中に、そして、この後のアフターコロナのタイミングで、新たな経営環境・市場に応じた新商品・新規事業を産み出していけるか否かは、企業が日頃からこの戦略を採っていたかどうかが試されることになります。
 今、多くの企業がコロナによって今までに無い新たな取り組みを行う必要に迫られています。しかし、準備もなく急に新たな活動を行うことは不可能です。 でも、もし、ダムのように日頃から事業のネタを蓄えていれば、これを機に一歩前に進め出ることができます。そしてライバルに差をつけることができるようになります。さらにライバルが届かない世界に事業を広げることができるようになります。
 逆に、(今の時期のように)経営数値が悪化した際に、「集中と選択」というカッコイイ言葉で凡庸な経営者が、新商品・新規事業を潰してしまうのを度々目の当たりにしてきたので、新商品・新規事業を担うリーダーと、彼を支える経営責任者の方には特に知っておいてもらいたい戦略の一つであると思います。


アフターコロナの新商品・新規事業

2020.08.25
松下幸之助氏の名言
 コロナ禍の後の世の中は大きく変ると言われております。この意見に私も同感です。
 この環境変化により死に絶えてしまう商品や事業も多々あることでしょう。名門・有名企業と言えども衰退、廃業して企業も少なく無いことでしょう。一方で、新商品・新規事業に取り組む多くの皆様には機会が拡大することは間違いないと私は考えます。
 では、どうすれば、この危機を機会(チャンス)に捉えることができるのでしょう?
 力を入れて探すのではなく、自然体で臨むことが肝心だと思います。
 松下幸之助の経営名言に「雨が降れば傘を差す」という言葉があります。当たりまえのことで、初めてこの言葉を聞く人は、何がそんなに名言なのかピンと来ないと思います。

 でも、こう考えれば、わかるのではないでしょうか?
 あなたの組織は、このコロナ禍の中の環境変化でも、今までのやり方を変えることが出来ずに、雨が降りだしてるのに今までと同じように(傘を開くこともなく)歩き続けてはいるようなことはないでしょうか?(外からの圧力で在宅勤務になったぐらいの変化ではダメです。)
 もし、各部署のリーダー達が個々の判断で、この変化に応じた行動に移れるような組織であれば、組織は生き残り、さらにもっと発展することもできる可能性があると思います。一方、リーダーが個々に判断して行動することができないような息苦しい組織や、そうすることを必要と感じない程に既存の環境と既存の組織に飼い慣らされたリーダー達が多く集う組織であれば、生き残りは難しく未来も開けていないしょう。
 もしかしたら、経営トップから傘を差すように指示が出るまで、組織の皆は、傘を差すこともなく今までと同じように雨の中でも歩き続けていていくようなことは無いでしょうか?ならば末期的です。

 あなたのビジネス遂行環境の傘の開き具合はどうでしょう?  残念ながら、傘があまり開いていないような組織や環境下にあるリーダーは、組織を出て、一旗揚げることを考えたら良いと思います。これは私自信の反省から感じる提案です。私自身が、組織に飼い慣らされていて、機会やそれを活かす能力があった頃に、組織を離れて一旗揚げる気概を持っていなかったことを反省に思っているからです。組織の中にいることが居心地が良く、また終身雇用の考えに浸っていた自分だったのです。


仕込み(事前の戦略考察)があってこそ

2020.07.24
この時期、羽田空港はガラガラでした
 今月の半ばに、あるクライアントと共にクライアントのお客様を訪問して取材をさせていただきました。
 このクライアントと案件は、実績紹介ページの【数年経過した商品の見直し】を、さらに深掘りして具体化を進めていく活動の中での取り組みでした。
 帰宅後、取材時に撮影させていただいた映像を粗く切り取り、単に並べ直して繋いだたところ「もう、このレベルでも営業に早速、使いたい。」とクライアントに言われ、先行活用が始まりました。
 私は映像編集についてはズブの素人ですから非常にプアーな映像です。もちろん、後日、プロの手による映像編集やナレーションの吹き込みなどの手を加えてプロモーション素材として完成させていく予定になってはいます。
 なぜ、映像としては極めてプアーなのに、仕上げも待たずに ”使える” と言っていただけたのか?
 それは、この商品が、お客様に役立っているのか?(顧客価値) 他社と比べて優れている点は?(競争優位)の重要なポイントが、映像で端的に見えるようになっていたからです。
 では、なぜ、初めての訪問で、そんな映像を撮影&インタビューすることができたのか? 
 理由は、訪問前にクライアントとは何度が打合せを行って、顧客価値 競争優位 と言った押さえるべき戦略的なポイント考察した上で、仮説を持って訪問したからです。それ故、極めて荒削りでも要点がまとまった有用な素材を得ることができたのです。出たとこ勝負の単なるラッキーではありません。
 と、言うことで、戦略を練らずに駆けつけただけでは、顧客の琴線に響く新商品のアピールができる素材を得ることはできません。(お金さえかければ)映像編集や効果の付け方で、見た目(だけ)は素晴らしいアピール素材を作ることはできます。しかし、顧客の心に刺さる素材を作ることは、どんなに有名な宣伝会社であろうと、どんなに有名なプロカメラマンだろうと、プロの演出・編集者であろうと、できません。 戦略を深く考察した人だけが、新商品・新規事業を正しく顧客に届ける素材を手にすることができるのです。


駆けつけます

2020.07.06
バイク
 所謂、私はリターンライダーです。
 子供達が独立し、早期退職したらバイクを買いたいと思っていました。そして、コンサルタントとしてクライアントのオフィスに行く時も、バイクで駆けつけていく・・・かっこいいじゃないですか。数年前から密かにそう思っておりました。

 妻は最初はかなり強く反対をしていましたが、なんとか懐柔。そして、生産終了してしまっていたお気に入りのカラーリングのバイクを探して、メーカー直系のある販売店でメーカー展示車の中古車(つまり新古車)を発見し、これを手に入れました。
 天候が悪い日は辞めておきますが、本当にクライアントとの打合せにバイクで行くようになりました。

 さて、ある日、クライアントの都内のサテライトオフィスに向かった際、急に天気が崩れてしまったため首都高速をずぶ濡れで走ることになりました。濡れたまま、クライアントのオフィスのエレベーターに・・・。
 またある日、クライアントにバイクで訪問して、その会社の社員食堂で歓談していたところ、総務の部署の方と思われる方から肩をたたかれ「ウチは構内にバイクの駐車は禁止なんですよ・・・」と言われてしまいました。近隣の駐車場だと、中大型バイクの駐車料金は330円なんですよね。今後このクライアントを訪問させていただく時の交通手段はどうしようかと今、少し悩んでいます。
 と、言うことで、(首都圏)どこでも駆けつけます。おもしろい新商品・新規事業を産み出す知見とノウハウをお届けします。お誘いください。


はじめに

2020.07.01
パナソニック歴史館 と 松下幸之助像
 私は、松下電器産業株式会社(現パナソニック)に入社し30余年の歳月をこの組織で過ごしました。
 期せずして入社した会社でしたが、すぐに松下電器の一員になれたことを本当に良かったと思いました。言い方は悪いですが、まるでヤクザにも似て『この組織(松下組一家)のためなら、一命を賭しても与えられた任務をやり遂げる』と忠誠心を強く抱いたものです。そう思わせる素晴らしい風土の会社でした。上司として私を導いてくれた方々も素晴らしい人が多かったと思います。
 しかし、21世紀に入り、優良企業と言われた松下電器がどんどん凋落していくことを目の当たりにします。幸い、自分が関わった事業は社会貢献できた(つまり黒字経営)ことが大部分でしたが、企業全体としては、大きく凋落しました。どうして愛する組織がこうも無残な姿に陥ったのかと悔しく、原因を理解したいと思いました。そう思って40代の前半に国内MBAに入学しました。当時、経営状態が著しく低迷していたことから残業ゼロ規制が続いたために大学院に通うことができたのは皮肉なものです。 大学院卒業後も、パナソニックを含む電機業界の経営課題を研究・考察し続けました。指導教授の誘いを受けたことも励みになり研究を続けました。

 こうした経緯で、新商品・新規事業を産み出すために何が必要なのかを考え続けてきました。(あるいは、新商品・新規事業を、誰が、どのように潰してしまうのか)この考察した成果は、自分で納得するだけに留めずに後進の皆様のために説明することが経験した者の責務だと思いました。私には教授のような学術的な視点からの解説はできませんが、現場で実践を踏んできた自分が、同じく現場で戦う中堅リーダー達に伝えることはあると思ったのです。
 経営学の知見を広めること、現場のノウハウを伝承すること、このために、Webページにて情報発信をしていくことを行ってきましたが、個々の現場の課題を解決するためには、コンサルタントとしてお受けして赴く必要もあると考え、今回、法人化しました。是非、新商品・新規事業を立ち上げて軌道に乗せていくお手伝いをさせていただきたいと考えております。